アイの車種情報。燃費やデザイン・乗り心地

calendar_today 2020/09/30

「アイ(i)」はかつて三菱自動車が製造・販売していた軽自動車です。誕生までに紆余曲折を得た経緯があるなど、数奇な歴史をたどった車種でもあります。

もともと三菱自動車は軽自動車にはそれほど力を注いでおらず、2003年にアイが登場したときには久しぶりの軽自動車のニューモデルとして注目を集めました。

しかも、デザインがこれまでの軽自動車にはなかなか見られなかったかなり斬新なものであったため、大きな話題を集めました。

それほど大ヒットした車種というわけではないかもしれませんが、生産が終了した現在でも根強い人気を得ており、中古車市場でもよく見かけます。

5ドアのボディ&軽自動車としての特徴

特徴は近年の軽自動車にしては珍しいと言われていた5ドアのボディを持ちながら、エンジンをリア・ミッドシップマウントしている点です。

これによってコンパクトなサイズを実現しつつ理想的な重量配分を実現しており、軽快な乗り心地と安定性という軽自動車の重要な要素をもたらすことに成功しています。

そもそも発売時にはコンセプトとして「居住性」「衝突安全性」「斬新なデザイン」を統合した「プレミアムスモール」を掲げていました。

重量配分のバランスを最適にしつつ、安全かつ快適に運転できるにはどうすればいいかを考慮した結果、これまでの軽自動車にはなかった仕様になったと言われています。

なお、後述する歴史の部分とも深く関わってくる部分ですが、このアイの開発から販売(2001〜2006年)までの時期は三菱自動車の経営難、さらにダイムラー・クライスラーとの提携〜解消といったメーカーをめぐる環境が慌ただしい状況にあり、そうした中で「三菱らしさ」をアピールする車としてこのアイが開発され、世に送り出された面があります。こうした事情が、このシリーズを個性的にした理由の一つとも言えます。

なお、運転席の下に燃料タンクを配置するセンタータンクレイアウトが採用されていますが、これはホンダからの技術供与によるものです。一方でフロントにネガティブキャンバーを付加することで、スムーズかつ軽快なハンドリングを実現しており、三菱自動車ならではの魅力として高く評価されています。

メーカー側の事情も複雑に絡んだ歴史

先述したようにこのアイをめぐる歴史は車開発だけにとどまらず、当時の三菱自動車が置かれていた複雑な事情が絡んできます。

開発が開始されたのは2001年、しかし開発陣はこのシリーズの将来性を経営陣に納得させるのに苦労したと言われており、当初はなかなか開発が進まなかったと言われています。

そこに経営難が加わることで2003年に開発が一旦停止されてしまいます。その後開発は再開されましたが、今度は当時提携していたダイムラー・クライスラーの車種と競合するとの理由で再度開発が停止。

結果的にはダイムラー・クライスラーとの提携が解消された後に、なんとか発売にまでこぎつけた形となっています。

現在の自動車開発において、開発開始から発売まで5年もかかるのは非常に珍しいケースとも言われており、難産の果てになんとか発売をこぎつけることができた珍しい歴史を持つ車種と言えるでしょう。

軽自動車としての燃費性能は?

燃費性能はカタログ表記で18.4〜19.8km/L、実燃費は15.0〜18.0km/L程度。

カタログと比較してもそれほど大きな差はなく、軽自動車としてもかなり優秀な燃費性能を備えていると評価できるのではないでしょうか。

三菱アイのデザイン

フロントが何と言っても特徴的!アイのエクステリア

エクステリアの特徴は何といってもフロント。特徴のところで触れたようにフロントにエンジンがないため、グリルをもたないなど個性的なデザインとなっています。

四角形の箱のイメージが強い通常の軽自動車に比べてなめらかなラインとなっており、流麗なラインで未来的な印象になっているのが何よりも特徴です。

なお、2006年度には軽自動車として初となるグッドデザイン賞も受賞するなど、高い評価を得ています。

このフロント部分のなめらかなラインは異例なほど大きなフロントガラスの採用にも結びついており、車内が広々と見える点も大きな特徴です。

さらにこうしたデザインの特徴は性能面にも大きな影響を与えており、風切音の低減を目指したエアロワイパーブレードなども非常に特徴的です。

広々とした車内とその空間を活かすインテリアデザイン

エンジンをフロントに配置しないだけでなく、45度傾けた形でコンパクトに収納したことで車内が広々としているのがインテリアの最大の特徴でしょう。

デザインに関しては、エクステリアに比べるとかなりクラシックでシンプルな印象となっています。

ポイントとしてはシートにニット系の生地を採用することでソフトな感覚にこだわっていた点でしょう。運転席周辺もすっきりした配置となっており、軽自動車にしばしば見られる狭苦しい印象もなく、長時間の運転においても快適な環境を維持しやすくなっています。

開発に5年の歳月を費やした一方、2013年に販売が終了。短命に終わった印象もある車種ですが、軽自動車の分野で三菱自動車らしい個性を発揮した貴重な車種として高く評価できるのではないでしょうか。

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