トヨタとホンダに次ぎ、日本国内で3番目に時価総額や乗用車の販売台数が多いのが今回ご紹介する日産自動車です。
スポーツカーファンには「GT-R」でおなじみのメーカーですが、実はセダン、SUV、ミニバン、最近人気のコンパクトカーや軽自動車などさまざまな車種を手がけています。
また、ハイブリッドカーの時流にはやや乗り遅れましたが、電気自動車や自動運転技術の開発にはどこよりも力を入れているのが日産です。
最近では、国内よりもどちらかというと海外市場に注目しており、中国などで高い人気を得ています。
そんな日産自動車について、ブランドの概要と特徴を解説するとともに、日産のなかでも特に燃費性能に優れている一台を紹介します。
ブランドの概要
日産自動車は、1933年に「自動車製造株式会社」として横浜で設立されました。日本国内では最初期に設立された自動車メーカーであり、トヨタやホンダと並んで日本の三大メーカーに数えられています。
技術力に優れていたのがかつての日産の最大の特徴で、実際、先進技術が駆使された独特のモデルを積極的に手がけていました。ところが、それが売れ行きに結びついたわけではなく、一時期は経営破綻寸前まで経営が悪化したこともあったのです。
その後、フランスのルノー傘下に入り、さらに昨今も大きな話題となったあのカルロス・ゴーン氏をトップを迎え、見事にV字回復を実現しました。
今後のルノーとの関係は不透明な部分も多いですが、少なくとも現在も関係は続いており、三菱との三社連合状態で世界的にも一定の活躍を見せています。
特徴
日産の特徴は、同じく老舗メーカーのトヨタとはやや異なる個性です。
トヨタはあくまでスタンダードで、大衆に受けるモデルを送り出して来ましたが、日産は斬新で個性の強いモデルに力を入れてきた印象です。そのため、時には商業的には失敗に終わることもあるものの、他にない独特の魅力を放っています。
そんな日産の個性が炸裂し、市場でも大きな成功を収めたのが、クロスオーバーSUVの「ジューク」です。
クロスオーバーSUV「ジューク」の登場
クルマに詳しくない人でも一目でわかる独特なデザインが特徴ですが、独特すぎてかっこいいと感じる人もいれば正反対に感じる人もいて、その評価は真っ二つに分かれました。
コンセプトカーとしてモーターショーで発表したそのままのデザインを市販車にも採用したわけですから、業界を騒がせるのには十分だったのです。
このジュークは、スペックとしてはSUVの標準的なレベルでしたが、インパクトの強いデザインのおかげで売れ行きは非常に好調でした。
このように、他社にはない魅力あるクルマを発売できるメーカーとして日産は注目されています。
e-POWER搭載車による巻き返し
ハイブリッドカーの分野では、トヨタやホンダと比べて日産は一歩遅れていました。その状況が一変したのが、2016年のマイナーチェンジに伴い、追加されたe-POWERを搭載した「ノートe-POWER」の登場です。
e-POWERとはハイブリッドシステムの一種ですが、通常のハイブリッドシステムのようにエンジンがメインで駆動し、モーターがサポートするというのではなく、エンジンはもっぱら発電を行い、モーターがクルマを動かすという方式のシステムです。そのため、運転する感覚はほとんど電気自動車と同じになっています。
電気自動車のような高い静粛性に加え、電気自動車の弱点である航続距離の少なさを克服したことで、ノートe-POWERは高く評価されました。
実際、販売台数でもトヨタ車を押しのけて、ノートe-POWERが何か月もトップに立ったほどです。
また、電気自動車の開発にも日産はどこよりも早くから力を入れています。2010年に生まれた「リーフ」が一例です。そのほか、自動運転技術の開発においても、国内のどのメーカーよりも力を入れているメーカーだと言えるでしょう。
燃費のいい車種
ハイブリッドカーがそうであったように、燃費に関しても、以前の日産はトヨタやホンダに差を付けられていました。
実際、ハイブリッドカーの遅れが燃費性能の良いクルマの少なさに結びついていたわけですが、その状況を変えたのが、やはり先ほど紹介したノートe-POWERだったのです。
ノートe-POWER以前のノートもコンパクトカーとして人気はありましたが、燃費性能に関しては他社のモデルと比べると2割ほど劣る状況でした。
ところが、ノートe-powerは、カタログ燃費で28.8km/L〜37.2km/Lと非常に低燃費です。グレードによって差はありますが、たとえば「e-POWER S」は37.2km/Lと非常に優秀な燃費値を記録しています。
ちなみに、ノートのガソリンエンジンモデルの燃費も決して悪いわけではありません。ガソリンエンジンモデルには自然吸気モデルとエコスーパーチャージャーモデルがあり、前者が23.4km/L、後者が26.2km/Lというカタログ数値です。