家族の車を借りるときの自動車保険の注意点

calendar_today 2021/06/15

家族の車を借りるときの自動車保険の注意点

自分の車を他の人へ貸し出すということにためらいを感じる人は少なくありません。事故や盗難について心配する人もいれば、車内が汚れてしまうことを懸念する人もいます。

一方で、車を貸す対象が家族の場合には、それほど抵抗を感じない人が多いのです。

とはいえ、車を借りた家族が事故を起こしてしまい、それが発端となって大きなトラブルに発展するというケースは珍しくありません。

ですから、貸す側も借りる側も事前によく話し合いをしておくことが大切です。特に、加入している自動車保険についてしっかりと確認しておきましょう。

自動車保険に加入しているか借りる前に家族へ尋ねよう

1つ目の確認すべきポイントは「任意保険に加入しているかを確認すること」です。

自動車保険には、車検手続きの際に必ず加入する自賠責保険と、個人が保険会社やプランを選んで加入する任意保険があります。家族から車を借りる場合には、車両が任意保険へ加入しているか、必ず質問しましょう。

「自賠責保険に加入していれば十分」と考えて任意保険への加入を避ける人もいます。とはいえ、実際に事故が起きたときの支払いを考えると、任意保険への加入は不可欠です。自賠責保険で補償されるのは、被害者1人あたり「死亡もしくは後遺障害となったら3,000万円まで」「傷害は120万円まで」となっています。つまり、この保険の対象となっているのは対人賠償のみなのです。

事故を起こした当事者が大けがをしてしまったとしても、自賠責保険では一切補償されません。すべて自分で支払いをする必要があります。また、事故によって対物賠償が発生した場合も補償の対象外となります。ですから、自動車がぶつかって壁や塀、ガードレールや電柱を壊してしまった場合には、すべて当事者が自腹で修理費用を支払わなければならないのです。ガードレールを壊してしまった場合の修理費用は、工賃を含めて10万円から15万円前後、電柱は50万円を超えることもあります。

こうした点を考えると、自動車を借りる前に対人・対物賠償の任意保険に加入しているかを確認して、加入していない場合はリスクヘッジとして借りないのが賢明であると分かるでしょう。

保険の補償内容と範囲を確認することも大切

任意保険に加入している場合には、その補償内容や補償範囲を確認することが大切です。

例えば、対人・対物賠償が無制限となっていても、これは事故の相手が被った損失に関するものであり、借りた車に関して補償が受けられるわけではありません。

借りた車の修理に関しては、車両保険への加入が必要となります。これに加入していないと、車の修理は自分で負担しなければならないということを覚えておきましょう。

運転者及び同乗していた人の治療費を負担してくれるのかを確認することも大切です。加えて、借りた車で遠方まで旅行する予定であれば、レッカー費用やタクシー費用、事故のために宿泊した場合の費用などを補償してくれる特約に入っているかをチェックするようにしましょう。

保険の適用範囲を確認しておくことも大切です。

保険の適用範囲が広くなると、その分保険料は高くなります。ですから、大抵の人は不要な支払いを避けるために保険の適用範囲を限定しています

例えば、「保険の契約者と配偶者のみ」「同居している家族のみ」「家族で30歳以上に限る」といった条件です。

子供たちがみな成人して家を出ている場合、大抵は契約者と配偶者のみに適用されるよう設定していることでしょう。ですから、実家へ帰省して親の自動車を借りるという場合には、保険の内容を教えてもらい、万が一事故が起きてしまった場合に補償が受けられるかどうか、必ず確認しておきましょう。

実際、事故を起こしてしまったものの、運転者が適用範囲外であったため、保険会社から支払いを断られるというケースは珍しくないのです。

確実な方法は自分で適切な保険に加入しておくこと

家族の車を借りて事故を起こしてしまい、契約している家族の保険を適用して修理をすると、翌年の保険料は値上がりしてしまいます。そうなると、貸した側も借りた側もあまり気分がよくないでしょう。

そうした事態を確実に回避したいのであれば、借りる人が自分が加入している自動車保険で他車運転に関する特約に加入しておきましょう。

自動車を持っていないのであれば、借りる日数分の一日自動車保険に加入するのが確実です。こうした保険はコンビニなどでも簡単に加入することができ、車の所有者が契約している保険の内容に影響を及ぼすこともありません。

まとめ

自動車の貸し借りをする場合には、その相手が家族であっても必ず加入している保険の内容を確認しましょう。

特に、事故が起きた場合にどこまで保険が適用されるのかを知っておくのは肝要です。そうすることで、事故が起きてしまったときに賠償額や修理費用の支払いに関して家族内で激しいトラブルが起きるという残念な事態を避けることができるでしょう。

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