対人賠償責任保険とは?自賠責保険だけでは不十分?

calendar_today 2020/09/14  refresh 2020/09/16

対人賠償責任保険とは?自賠責保険だけでは不十分?

自動車を運転していて誰かにケガを負わせてしまった場合、法律において損害賠償責任を負わなくてはなりません

ここで発生する賠償金は、数千万円から数億円になることもあります。特に、死亡事故や後遺症が残るようなケガをさせてしまった場合、この額は大きくなります。

こうした賠償金を支払う場合は、運転者が加入している自賠責保険や対人賠償責任保険によって支払われることになります

任意保険である対人賠償責任保険と強制的に加入する自賠責保険の関係性を理解し、賠償金の仕組みを理解することが大切です。

対人賠償責任保険とは

対人賠償責任保険とは、自動車を運転している際に、事故で相手にケガをさせた場合に発生する保険です。

例えば、自分が運転していて歩行者を死亡させてしまった、別の車にぶつけてその車の人にけがをさせた、といった状況で適用されます。

保険で支払われる金額は、過失の割合で大きく異なります。交通事故においては、加害者が一方的に過失のある場合と被害者にも過失がある場合があります。

例えば、歩行者と自動車の事故の場合は、歩行者が弱者とみなされ、運転者にかかる過失が大きいと考えるのが一般的です。しかし、歩行者が信号無視をしていた場合などは、歩行者にも過失が認められる場合があります。

この加害者と被害者の過失割合を考慮し、支払うべき保険金の額が決定されます。つまり、相手方の過失割合を差し引き、自分の過失割合だけ相手に支払うという仕組みがとられているのです。

ちなみに、自分自身が運転をしていてケガをした場合、その治療費は対人賠償責任保険ではなく、人身傷害や搭乗者傷害保険が適用されます。

補償の対象と内容

対人賠償責任保険は文字通り、ケガをさせてしまった人への補償です。

そのため、事故で相手の車を壊してしまった場合、車に対する保証は対物賠償責任保険になります。自分の車が壊れてしまった場合は、自分が加入している車両保険で対応することになります。

また、対人賠償責任保険は、全ての人に補償されるわけではありません

重要なのは、対人賠償責任保険で補償されるのは「他人」に限られるということです。ここでいう他人というのは、契約者が別居かつ生計も別となっている親戚や友人などが挙げられます。

例えば、自分が運転していて、車に自分の子ども、別居し生計も別の親戚、その親戚の子どもが乗っていました。その車が追突事故を起こしたとします。追突した車の人がケガをした場合、この人は対人賠償の補償対象となります。

また、対人賠償は同乗者のケガの治療費や慰謝料なども補償されます。ただし、上記の例の場合では、補償を受けることができるのは、親戚とその子供になります。自分と自分の子どもは補償を受けることができません

対人賠償責任保険における「他人」とは、同じ家で生活しているか、別居していて経済的にも自立して生活をしているかという点が判断の基準となります。そのため、配偶者や同居している親族、別居はしているものの仕送りをしている子どもなどは補償対象外なのです。

自賠責保険だけでは不十分?

自動車を運転する場合、運転者は強制的に自賠責保険に加入することが義務付けられています。自賠責保険にも対人への補償が行われます。相手の死亡、後遺症、ケガによって、それぞれ補償することができます。

ここまで説明すると、事故を起こしても自賠責保険だけで十分ではないかという考えが浮かぶかもしれません。

しかし、自賠責保険の落とし穴は、保険金額の上限が決まっているという点です。相手が死亡の場合は3000万円、後遺障害が残った場合は4000万円、そしてケガの場合は120万円が補償額の上限となっています。

対人賠償責任保険に加入しておらず、事故を起こしてこの金額以上の賠償額が請求された場合、自腹で支払いをしなければならないのです。実際に、交通事故などでは損害額が1億円以上となる場合もあります。ここまでの金額になると、個人のお金で対応することはで不可能です。

一方、対人賠償責任保険の場合、限度額は契約時に決めた金額となります。具体的な限度額が定められている場合もありますが、無制限となっているものもあります。

実際に賠償を行う場合は、まず自賠責から支払いを行います。例えば、相手にケガを負わせてしまい、500万の賠償を行う場合、まず自賠責保険から上限いっぱいとなる120万円を支払います。そして、残りの380万円を対人賠償責任保険から支払うというシステムになっています。

つまり、対人賠償責任保険は、自賠責保険では補償しきれない部分を補うためのものという考え方で成り立っているのです。

まとめ

事故はいつ何時、どのような形で起きるのかわかりません。また、事故の規模が大きいほど、賠償額も大きくなります。

加害者が任意保険に加入していなかった場合、被害者は十分な補償を受けることができません。それに伴い、加害者自身もさらに苦しむことになるでしょう。

ハンドルを握って運転する以上、ゼロリスクということはあり得ません。いざという場合に責任を持てるよう、対人賠償責任保険には必ず加入しておくようにしましょう。

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