トヨタではかつてウィッシュという車種を販売していたことがあります。
タイプ的にはミニバンですが、車高を出さないことでステーションワゴンに近い見た目に仕上がっています。トヨタの5ナンバーセダンのプレミオやアリオンのプラットフォームのホイールベースを延長したものをベースに作られています。
軽量でありながら剛性を高めたボディやシーケンシャルシフトマチック、リアダブルウィッシュボーン式のサスペンションなどが装備されています。これらの装備により、スポーティなテイストに仕上げられました。
当初は日本国内のみで販売されていましたが、のちにタイや台湾でも現地生産されるようになりました。特に台湾では5人乗りタクシーとして広く利用されています。
歴史
トヨタウィッシュは、2003年から販売開始されました。”Smart Multi Player”WISHが開発テーマでした。使い勝手と走りやすさの両方を兼ね備えたコンパクトミニバンというコンセプトで手掛けられました。
このタイプの車だと、後部座席ではよくスライドドアが導入されています。しかしウィッシュの場合、スタイリングを重視しスライドドアは採用しませんでした。スライドレールを採用すると、デザインに制約が加わるからです。
2009年に2代目にフルモデルチェンジが実施されました。スポーティ感と快適性を重視して開発されました。
例えばエンジンはバルブマチックと呼ばれる動弁機構を全車で採用しました。動力性能に優れる一方で環境性能もしっかり配慮されています。初代モデルと比較して、最大燃費を15%程度向上することに成功しました。
フロントバンパーに厚みを持たせて、ヘッドランプはシャープにすることで精悍でスタイリッシュな外観に変身しました。インパネは水平方向に広がるようなフォルムで、飛行機の翼のようなテイストに仕上がっています。
エアバッグや自動エンジンブレーキ、全席オートパワーウィンドウを標準装備することで先代と比較して安全性と快適性も向上しています。
ちなみにこのモデルから、国内だけでなく香港とマカオでも正規販売が開始されました。
2010年代にはいると、販売台数が低下傾向になりました。セミキャブオーバー型のミニバンやSUVの台頭によって、従来のミニバンの人気が低下したことが大きかったです。そのため、2017年に販売終了しました。
燃費
ウィッシュではハイブリッドモデルはラインナップされませんでした。すべてがガソリンエンジン車です。
燃費を見てみるとJC08モードでグレードによって若干の違いがありますが、リッター当たり14.4〜16.0kmとなっています。
1,000km走行するにあたってかかるガソリン代は、レギュラーガソリンでその時々で若干変動するでしょうが大体8,500〜9,400円程度という計算です。
デザイン
エクステリア
ウィッシュのエクステリアデザインはホンダから先行販売されていたストリームに近い仕上がりです。
ストリームはミニバンでありながら低重心にデザインされていました。このためセダンと比較してもそん色ない走行性能を備え、当時は画期的といわれていました。
プレミオやアリオンのプラットフォームをベースに開発されたこともあって、全高1590mmに抑制されました。
初代モデルの間、何度かマイナーチェンジが行われました。しかし2009年4月2日から2代目モデルにチェンジされました。
スポーティなデザインに変身しました。フロントバンパーに厚みを持たせて、ヘッドランプをシャープなものにしました。しかもルーミーさとスポーティーさを意識して、先代よりもスタイリッシュな印象の車になりました。
インテリア
内装については2代目からグレージュを新たに導入しました。このモデルからTB-NF110という新世代シート骨格を初めて採用しました。また内装の装備もかなり充実しています。
WISH・パノラミックライブサウンドシステムといって10スピーカーが搭載されました。シートには防ダニアレルゲンが加工されています。
エアコンにはプラズマクラスターが搭載され、花粉除去モードも装備されています。春先エアコンをつけても外気の花粉が車内に入ってくるような心配はありません。
ウィッシュは3列シートになっているのですが、大人7人がのってもそれほど圧迫感がないほどの社内スペースを確保できています。またシートを使用しない際には格納することで荷室スペースを広げることも可能です。
従来の荷室スペースは405×1440×885mmです。これが3列目座席を収納すれば、1095〜1140×1440×885mmにスペースが拡大します。
また2列目シートをさらに格納することも可能です。両方格納すれば、1820〜2015×1440×885mmの広さを確保できます。
大型ミニバンほどの自由度の高さはないですが、シートの収納などアレンジをうまく活用すれば、荷室スペースを大容量にすることも十分可能です。