ワゴンRは、スズキの軽自動車のなかでも主力のハイトワゴンで、スズキだけでなく国内の軽自動車を代表するほどの車種と言っても良い存在です。
ハイトワゴン自体、ワゴンRの登場によって確立されたと言っても過言ではありません。
1993年に初代モデルが登場して以降、従来は軽自動車に見向きもしなかった客層をも取り込むことに成功し、1999年に国内累計販売台数が100万台を突破、2010年には350万台も達成しています。
ワゴンRは軽自動車のなかで年間売上ナンバーワンを何度も記録しており、特に2004年〜2010年までは7年連続でNo.1という輝かしい成績です。
そんなワゴンRもフルモデルチェンジで代を重ね、現在は2017年に登場した6代目モデルになります。安全性能、居住性、燃費性能が先代モデルより大幅に向上しました。
歴史
初代
ワゴンRが誕生したのは1993年です。
それまでも軽自動車はあったものの、普通車より明らかにランク下の存在であり、走行性能や安全性能、それに利便性においても絶対的なヒエラルキーの違いを感じさせました。
そうした状況を一変させたのが、スズキから発売されたワゴンRなのです。
ワゴンRが生まれるきっかけとなったのは、1990年の道路運送車両法の改正です。それを機に、新規格に適合する車種として開発されたのが初代のワゴンRで、660ccの排気量を備えました。
また、排気量だけでなく、ボディサイズも従来の軽自動車より大きくなり、室内空間と居住性、加えて利便性の面でも普通車に負けない存在へと引き上げることに成功したのです。
初代モデルが発表された1993年には、その革新性ゆえニューカーオブザイヤーに輝くことになりました。
結果として、軽自動車に興味のなかった普通車のユーザーをも惹き付けたのです。
2代目
そんなワゴンRが最初にフルモデルチェンジを施されたのが1998年です。その際も軽自動車の規格が改正されたのが契機となりました。
2代目のワゴンRは、先代モデルからのコンセプトをキープしつつも、ボディが先代モデルより拡大し、若干ボディラインもふくよかになりました。実際、全長と全幅は新しい軽自動車規格のぎりぎりである3,395mm×1,475mmです。
一方、軽量化対策にも力が入れられ、先代モデルよりおよそ20kgもの車重ダウンに成功しました。
さらに、最小回転半径も4.2mと先代モデルより0.4mも小さくすることに成功し、取り回しが大幅に向上したことで、ライバルをさらに引き離すことになったのです。
3代目
3代目モデルが登場したのは2003年でした。
今回のフルモデルチェンジも基本はキープコンセプトであり、ひと目でそれとわかるアイコン性を維持しています。
一方、ボディラインは初代モデルに近い直線基調に戻り、ふくよかなイメージがやや減少しました。
2代目モデルを女性的と形容するなら、3代目モデルは男性的と言えるでしょう。実際、このスタイリングの変化は、MRワゴンという女性向けの姉妹車種が登場したことに伴って、差別化が図られた結果でした。
3代目モデルから5ドアへと統一され、4ドア仕様はすべて廃止になっています。
また、2007年に「クールフェイス ワゴンR」をデザインコンセプトとして開発されたワゴンR スティングレーが新規ラインナップされました。
4代目
2008年にフルモデルチェンジされ、4代目モデルが登場しました。
相変わらず基本はキープコンセプトであったものの、3代目よりもアグレッシブな外観デザインになったのが特徴です。
5代目
5代目モデルが登場したのが2012年です。
フルモデルチェンジとはいえベースはやはりキープコンセプトで、スタイリングは先代モデルと大きく変わりません。
ただ、プラットフォームが一新されたのが大きな特徴です。
6代目
そして、現在の6代目モデルに至ります。現行モデルが登場したのは2017年で、今回で5度目のフルモデルチェンジとなりました。
初代モデルのデザインを現代風に少しアレンジしたスタイリングとなったのが特徴です。
また、居住性が先代モデルより大きく向上し、低燃費にもこだわって燃費性能が向上しました。
最新モデルの予防安全装置が搭載されたことも大きな変化です。
燃費
現行の6代目ワゴンRの燃費は、カタログによれば軽ワゴンではナンバーワンの低燃費とのことです。
その数値は、HYBRID FZ 2WDが25.2km/L、4WDが24.2km/L(どちらもWLTCモード)となっています。
先代モデルより大幅な軽量化に成功したことに加えて、マイルドハイブリッドシステムのモーター出力がアップしたことが要因です。
デザイン
現行モデルの内装デザインは先代モデルと比べて大きく変化しています。
特に、室内サイズが広くなったことが特筆すべき点です。実際、室内長は先代モデルの2,165mmから2,450mmと、30センチ近く伸びています。
プラットフォームに新型の「HEARTECT(ハーテクト)」が採用されたことが大きく、エンジンルームが先代モデルよりも小さくなったため、居住空間を大きく取るデザインが可能になりました。
後部座席のスペースも広く、ライバルと目される日産のデイズとほぼ同等の広さです。