ホンダの軽自動車というと、今ではNシリーズが広く知られています。しかしNシリーズが投入されるまで、長くホンダの軽自動車を支えてきた車種がライフでした。
ホンダはそれまで軽自動車というとトゥデイしかラインナップしていませんでした。1997年から発売されたライフはこのトゥデイ以来の新しい軽自動車モデルでした。
当時、トールボーイスタイルの軽自動車が登場し、注目を集めつつありました。ホンダもその流れに乗ろうとしてこのライフを投入してきました。
ちなみにホンダでは1997年に発売する以前にも同名の車を生産していたことがありました。1970年代に生産されていたのですが、この時は2ボックスタイプのセダンもしくはハッチバックタイプのワゴン・バンでした。
こちらのモデルは1974年に販売を終了しました。そしてこのライフの名前が復活するのは、23年後のことでした。
軽トールワゴンとして復活したライフは、長く安定した販売実績を積み重ねてきました。しかしN-BOXに代表されるようなNシリーズを新たにラインナップしたのと、N-WGNの生産開始を機に2014年に販売を終了しました。
歴史
初代(1971年~1974年)
ライフが初めて市場に投入されたのは、1971年のことでした。4ドアセダンと2ドアハッチバックの2種類をラインナップしていました。
この初代ライフ、画期的な車として知られています。
例えばエンジンは水冷式だったのですが、当時最新鋭といわれていました。エンジンは横置き、そこに前輪駆動を組み合わせたスタイルはこの翌年に発売されたシビックをはじめとして、多くのホンダの車で導入されました。
ちなみに初代モデルが生産終了したのは、このシビックが影響しています。シビックは世界的なヒット作になって、生産ラインを確保するためにライフのラインを譲らざるを得なかったからです。
2代目・3代目(1997年~2003年)
2代目として投入されたのは1997年のことです。当時人気車種だったトゥデイをベースにしながら、車高を高く設定しました。
今では広く知られ、多くのメーカーで生産している軽トールワゴンですが、このカテゴリーを確立したのが2代目のライフでした。
1998年にはフルモデルチェンジがなされました。かなり早いと思われるでしょうが、軽自動車規格の改正が行われ、それに合わせる必要があったためです。
先代モデルと比較して、サイズが大きくなりました。2000年にはターボエンジンを搭載したモデル「ダンク」も加わりました。
4代目(2003年~2008年)
2003年に登場した4代目のライフは丸みを帯びたデザインが注目を集めました。見た目がかわいらしいので女性から幅広い支持を集めました。
また、インパネシフトを導入したことで、実用性にもこだわったモデルになりました。インパネシフトを採用した車は、当時軽自動車の中では珍しかったです。
歴代ライフの中でも高い評価を得ているモデルともいわれています。
5代目(2008年~2014年)
2008年にフルモデルチェンジがなされ、軽トールワゴンによりふさわしいデザインになりました。
車内空間も十分あって、大人4人がのっても窮屈に感じないようなスペースに仕上がりました。
そして2014年に生産終了し、その17年の歴史に幕を下ろしました。
燃費
ライフの最終モデルになった5代目のスペックで見ると、JC08モードでリッター当たり自然吸気エンジンで21.0〜22.0km、ターボエンジンで19.6kmでした。
ちなみに4WDのグレードのライフの場合であれば、自然吸気エンジンが19.4km、ターボエンジンが18.0kmでした。
この数値ですが、ライバル車と比較すると若干劣ります。しかし乗用車全般で見た場合、優れた燃費を有しているといえるでしょう。これだけの燃費が出ていれば、ガソリン代の節約効果も十分見込めます。
ガソリン価格はその時々で変動しますが、レギュラーガソリンを使用するライフの場合、1000km走行するのにだいたい6700〜7000円弱くらいのガソリン代がかかるとみていいでしょう。
燃費重視で自家用車を探している人でも満足度は高いはずです。
デザイン
エクステリア
ライフはモデルチェンジをするたびにコンセプトやデザインに若干の変更を加えてきました。
その中でも最終モデルの5代目の場合、「シンプル・スマート・モダン」をコンセプトに開発されました。局面を十分に生かすことでモダンと親しみの持てるテイストに仕上げられました。
一方でサイドウィンドウは立ちスクエアにすることで洗練されたスタイリッシュな感じです。
フロントフェンダーからリアフェンダーにかけてシャープなフォルムにすることで、良いアクセントになっています。
インテリア
内装については、左右分割式のフロントベンチシートを採用しているところが特徴です。体をしっかりホールドしてくれるので、長時間ドライブしても疲れは感じにくいです。
さらにヒップポイントを最適化することで、視界性も高められています。
後部座席は広々しているので、大人が4人乗車しても圧迫感はないです。
ゆったり快適なドライブを楽しめるでしょう。