「レンタカーで事故を起こしてしまったら、自己負担はあるんだろうか……」
「レンタカーの保険はどこまでカバーしてくれるんだろうか……」
そういう人のために、レンタカーの利用料金に含まれる保険の補償内容や免責について解説します。
そもそも保険適用されないケース
レンタカーにかぎらず、自動車保険には保険が適用されない免責事由があります。保険に加入しているからといって、事故にあった場合にすべて補償されるわけではありません。
自動車保険全般に共通する免責事由
自動車保険には共通して以下のような免責事由があります。
- 事故の発生原因による免責
- 保険契約上の告知義務違反を理由とする免責
- 保険料領収前を理由とする免責
- 保険契約の合意による免責
被保険者の運転に過失があったり、保険契約に違反していたりするケースです。
例えば、無免許や飲酒運転、故意に起こした事故。また、契約期間外や被保険者以外が起こした事故などがこの免責事由に該当し、保険金を受けることができません。
レンタカー利用で補償されないケース
レンタカー利用で事故を起こしてしまった場合も、上記の免責事由と同様のケースでは補償対象外になります。
トヨタレンタカーのWebサイトでは、保険・補償制度が適用されない例として以下項目が書かれています。
保険・補償制度|トヨタレンタカー
- 警察に事故の届出を実施しなかった場合(事故証明がない場合)
- 出発時にお申し出いただいた方以外の方が運転して起こした事故
- 無免許運転による事故
- 酒気帯び運転による事故
- 借受期間を無断で延滞して使用された場合の事故
- その他貸渡約款に掲げる事項に違反があった場合など
例)キーを車内に放置していて盗難にあった場合
レンタカーの場合、「出発時に申し出た運転者以外が運転して発生した事故」や「借受期間を無断で延滞して使用した場合の事故」は知らずに当てはまることがあるかもしれません。
友人同士でレンタカー借りて遊びに行くときなどは、細かことを確認せずに借りてしまう人も多いので、気をつけましょう。
レンタカー料金に含まれている保険の補償内容
レンタカーの利用料金に含まれている基本補償は以下の4つ。任意保険にデフォルトでセットされている保険と同じです。
- 対人賠償補償
- 対物賠償補償
- 車両補償
- 人身傷害補償
ちなみに、加入が義務付けられている自賠責(自動車賠償責任保険)。レンタカーの場合は車の所有者であるレンタカー会社が加入しています。
ただ、自賠責は交通事故の被害者救済を目的としているため、補償は対人賠償だけで補償範囲は不十分です。
相手方に対する補償
対人賠償補償
対人賠償補償は、事故の相手方の治療費や慰謝料を補償します。相手にケガを追わせてしまった、死亡させてしまったという場合です。
レンタカー料金に含まれている基本補償では、対人賠償は1名につき無制限というのがほとんどです。
対物賠償補償
対物賠償補償は、事故により相手の車や第三者の車、家、店舗、ガードレールなどを壊してしまった場合の修理費や慰謝料などを補償します。事故の相手のトラックの積荷が破損した場合は積荷に対しても賠償責任が生じます。
レンタカー料金に含まれている基本補償では、対物補償は、1事故につき補償限度額が2,000万円~無制限。
また、補償限度額が無制限でも免責額が設定されています。免責額は5万円にしているところがほとんどです。
自分や同乗者に対する補償
車両補償
車両補償は、自分の車(レンタカー)が事故で修理が必要になった場合に補償されます。車対車の事故や自損事故で車が故障したり、高速道路走行中に飛び石でフロントガラスにヒビが入ったりしたときなどが該当します。
レンタカーでは、補償限度額は時価。時価とは初度登録年からの経過年数を基準に評価された車両価格のことです。満額補償される印象を受けますが、修理代が時価を超える場合もありえます。
また、対物賠償補償と同じく車両補償も免責額が設定されており、5万円がほとんどです。
人身傷害補償
人身傷害補償は、運転者や同乗者がケガをしたり死亡したりした場合に補償されます。治療費や治療期間中の休業損害、慰謝料が受け取れます。
人身傷害補償は、1名につき3,000万円まで一般的です。
その他(ロードサービス)
トヨタレンタカーでは、レンタカーの料金で提携する損保会社のロードサービスを利用できます。
- 車両運搬サービス
- バッテリー上がり時の再始動
- インロック時のカギ開け対応
- 落輪引き上げ
- ガス欠時の燃料補給
例えば、車両運搬サービスの場合は1事故につき15万円を上限に補償など制限はあるものの、こういったロードサービスが受けられます。
ただ、ロードサービスはサービスそのものがなかったり、追加料金のオプションだったりするレンタカー会社がほとんどなので、ご注意ください。
免責額とノンオペレーションチャージ(NOC)
レンタカーは上記のとおり、利用料金で対人賠償や対物賠償など基本的な補償は受けられるようになっています。
ただし、事故を起こしてしまってもすべてが補償されて自己負担がないわけではありません。補償範囲内であっても必ず負担しなければいけないものに、免責額とノンオペレーションチャージがあります。
免責額は対物賠償補償と車両補償に設定されているので、事故の賠償責任額が補償の範囲内であっても自己負担が生じます。
もうひとつ、通常の任意保険にはない自己負担がレンタカーにはあります。それが、ノンオペレーションチャージ(NOC)です。
ノンオペレーションチャージとは
レンタカー会社は、所有している車を貸し出してビジネスをしています。貸し出した車が事故の修理や清掃で一定期間使うことができなくなると、その期間損失が生じます。
その補償は自動車保険にはないので、事故を起こした利用者がレンタカー会社に対して営業補償を支払います。その営業補償のことをノンオペレーションチャージと呼びます。
カーシェアもシェアする車が使えなくなると運営会社に損失が生じるので、同じようにノンオペレーションチャージがあります。
このノンオペレーションチャージはほとんどの会社で金額が決まっています。自走して店舗に返却できる場合は2万円、自走できない場合は5万円です。
免責補償とNOC補償で自己負担をゼロにする
6時間5~6,000円でレンタカーを借りて、事故を起こしてしまったせいで自己負担が10万円超……。ということになると、レンタカーは割が合わないと利用者は感じるかもしれません。
そこでほとんどのレンタカー会社が免責額やノンオペレーションチャージを免除するオプション制度を用意しています。
免責補償(CDW)
免責補償は、対物賠償補償や車両補償に設定されている免責額が免除されるプラン。
免責補償制度はメジャーなレンタカー会社はすべて用意しています。つけるための料金については、車両クラスによって異なりますが24時間1,100円~2,200円が相場です。
NOC補償
NOC補償は、そのままでノンオペレーションチャージを補償してくれるプラン。
以前はNOC補償プランを用意していない大手のレンタカー会社もありましたが、現在は免責補償と同じく、すべて用意しています。
NOC補償の料金は24時間550円が相場。ただ、ニッポンレンタカーや日産レンタカーのようにNOC補償を単体プランで用意しているところもあれば、他のサービスと抱き合わせプランを用意しているところもあります。
例えば、トヨタレンタカーは免責補償制度にNOC補償などをプラスした「トヨタレンタカー安心Wプラン」を提供。タイムズレンタカーはロードサービスと抱き合わせた「安心補償コース」を用意、しかも入るためには「免責補償コース」の加入が必須です。
まとめ
免責補償やNOC補償をつけないと万が一の場合の自己負担が少なくとも10万円を超える。免責やNOCの負担額はゼロになるけど、加入するのに車種によって安くても1日2,000円ほど追加でかかる。
運転経験が豊富で事故は起こさない自信があれば追加で加入しなくてもいいかもしれませんが、初心者の方は免責補償やNOC補償をつけたほうがいいでしょう。
ですから、利用料金でレンタカー会社を比較するのであれば、免責補償制度の有無や内容、そして免責補償などを含めた金額で比べることが重要です。