トヨタのように一般に幅広く受け入れられるクルマではなく、走りに徹底的にこだわってクルマを開発しているのがスバルです。
そのため、セダンやSUV、ステーションワゴンなどの走りに重きを置いたタイプが中心で、コンパクトカーや軽自動車のラインナップはそれほど多くありません。
決して売れ筋のメーカーではないのですが、それでも熱心なファンが世界中に存在しているのがスバルというメーカーです。
そんなスバルについて、その概要や特徴、それに燃費性能に優れたモデルを紹介していきましょう。
ブランドの概要
スバルにはもともと航空機のメーカーとしてのルーツがあるため、航空技術者の手によって自動車開発が行われてきたという特異な経歴を持っています。
そのため、通常の自動車メーカーには思いも寄らないような発想で、個性的なモデルをいくつも送り出すことができたのです。
そんなスバルを象徴するのが、60〜70年代に絶大な人気を誇った「スバル360」でしょう。
現在のスバルも個性的な路線をキープし続けています。たとえば、水平対向エンジンという、スバル以外にはポルシェのみが作っているタイプの特殊なエンジンを搭載したランナップが中心です。モータースポーツの世界でもさまざまな偉業を成し遂げてきました。
このように、スバルはとにかく走りにこだわって開発しているため、近年の燃費性能など維持費にこだわる傾向のなかでは需要が落ちているのは否めません。国内シェア約4%、世界シェアだとたったの1%と規模から見ても小さな自動車メーカーです。
しかし、それでも下手に需要に合わせることなく、相変わらずスバルならではのポリシーを貫いています。だからこそ多くの根強いファンが存在するわけで、シェアの低さに反して純利益は国内メーカーのなかでも上位に位置する存在です。
販売台数は多くありませんが、しっかり利益を上げている優良企業と言えるでしょう。
特徴
無駄を削ぎ落としたシンプルなデザイン
スバル車の特徴として、質実剛健で頼りになるということが挙げられます。どんなシーンでも信頼できるクルマというイメージではないでしょうか。
スバルを代表するモデルにレガシィがありますが、レガシィはセダン、ステーションワゴンと2種類で展開しており、シンプルなデザインで人気です。このレガシィこそがスバル車の質実剛健を体現している存在と言えるでしょう。
シンプルなデザインといっても、それは決して退屈なデザインという意味ではなく、無駄を削ぎ落として必要なものだけに絞り込んだ機能美があるということです。
ドイツ車と比較されることも少なくないレガシィですが、それもこういう質実剛健なところが評価されているからでしょう。
水平対向エンジン
スバルのもう一つの大きな特徴が、先ほども少し触れた水平対向エンジンです。水平対向エンジンを現在も採用しているのは、世界中を見渡してもスバルとポルシェしか存在しません。
通常のエンジンと違って、ピストンが平らに配置されるのが水平対向エンジンの特徴ですが、この特徴によってエンジンの高さを抑え、重心も低くできるのが大きなメリットです。
エンジンと言えばクルマのパーツのなかでも最も重量があるパーツですから、その重心を下げることでクルマ全体の重心も下がり、車体の安定性が良くなります。
通常のエンジンはピストンが上下運動を行うため、それが振動となって騒音を発生します。それに対して、水平対向エンジンの場合は文字通り水平にピストンが運動するため、その振動が打ち消されるわけです。
そのため、水平対向エンジンは通常のエンジンより振動も、それに伴う騒音も少なくなっています。
また、水平対向エンジンには、その独特なサウンドを魅力と感じるファンも多いです。ただうるさいエンジン音ではなく、力強いエンジン本来の低音なので、スバリスト(スバル車の熱狂的ファン)ならほぼ誰もがこのサウンドを魅力に数え上げるのではないでしょうか。
モータースポーツへの参加
もう一つのスバルの特徴が、早くからモータースポーツに参加していることです。
1989年から世界ラリー選手権に参戦し、インプレッサを投入して以降は優秀な成績を収めるようになりました。
インプレッサは、これがきっかけで爆発的な人気を獲得したようなものです。
最近は世界ラリー選手権に参加していないものの、あの栄光が今でもスバルのイメージを担っているのでしょう。
燃費のいい車種
走りにこだわるスバルは、低燃費をありがたがる世間の傾向に迎合することなく、ポリシーを貫いてクルマの開発に携わってきたメーカーです。
とは言え、いくつか燃費性能に優れたモデルもあります。その一つが、軽ハイトワゴンのステラです。
ステラには、標準モデルとエアロモデルの2種類がありますが、標準モデルのカタログ燃費は、グレードにかかわらず、2WD車が31.0km/L、4WD車が27.6km/Lです(JC08モード)。
また、燃費性能だけではなく、アイドリングストップ機能やエコ発電機能などを搭載して、環境性能にもこだわりを見せています。