アルトラパンは、2002年にデビューしたスズキの軽自動車です。
スズキには軽自動車として長い歴史を持つアルトがあります。アルトラパンはその名の通り、このアルトをベースに開発されました。
ただし、コンセプトはアルトとはまったく異なり、マーケティングでも別の車種との認識で展開されています。
初代アルトラパンが登場した時に「内装・外装ともに生活感があって親しみやすいデザイン」というコンセプトが発表されました。それが今に至るまで続いており、シルエットには生活感を窺わせる雑貨的な雰囲気が漂っています。
全体的には箱型のシルエットながら、各所は丸みを帯びており、内装デザインも親しみを感じさせるコーディネートで統一されているのが特徴です。
また、「うさぎ」を意味する「ラパン」を名に冠しているだけあって、各所にうさぎのモチーフが散りばめられています。
このような特徴から、アルトラパンは女性から圧倒的な支持を集めるモデルです。実際、カーオーナーの約6割が20〜30代の女性であり、それだけ女子力を感じさせる車として選ばれています。
歴史
初代
アルトラパンがデビューしたのは2002年のことです。
生活感のあるデザインということで、丸みを感じさせる箱型のスタイリングが採用されました。
また、室内は広々としており、ピラーとウインドウが立ったデザインということもあって、どことなく自分の部屋でくつろいでいるような心地よい感じがすると好評を博しました。
軽自動車として、当時ではかなり多い12種類というボディカラーのバリエーションが用意されたことも話題を呼んだ点です。
また、デザインだけでなく装備も充実しており、「カテキン・エアフィルター」というスズキオリジナルの空気をクリーンにするエアフィルターが採用されていたり、ツイーター2個を含む高音質スピーカーシステムが搭載されていたりと豪華な内容でした。
2代目
アルトラパンは2008年にフルモデルチェンジを施され、2代目モデルへとバトンタッチします。
基本的にはキープコンセプトながら、細部にモダンなスタイルを採用し、レトロっぽさが薄れた感じです。
といっても、相変わらずフロントグリル、ヘッドライト、リアドアなど至るところにうさぎのモチーフが散りばめられており、女性に対する訴求力の高いモデルに仕上がりました。
走行面では、新しいプラットフォームとサスペンションが採用されたことで、より快適に運転できるようになったとの評判です。燃費も向上し、NAグレードは24.5km/L、ターボでも23.0km/Lを達成しました。
その後、2010年に改良が施され、AT車は廃止となって、全車がCVTモデルとなっています。さらに、2013年、より女性への訴求力を強めたアルトラパンショコラが追加されました。
3代目
3代目に当たる現行モデルが登場したのが2015年です。
これまで以上に女性をターゲットに据えた方向性が強められ、企画や開発の段階から女性のワーキンググループも深くかかわりました。
先代モデルの後期に登場したアルトラパンショコラは、今回のフルモデルチェンジを機にアルトラパンに統合されるという形で使命を終え、アルトラパンこそが女性のためのパーソナルカーという位置づけになっています。
今回のフルモデルチェンジにおいて特筆すべき点は、大幅な軽量化に成功したことです。
先代モデルより120kgも車重がダウンしました。そのため、燃費性能は大幅に向上しています。また、安全性能も向上し、衝突被害軽減ブレーキなどが標準装備となり、サポカーSワイドに対応しました。
燃費
前回のフルモデルチェンジで大幅な軽量化に成功したおかげで、現行モデルのアルトラパンの燃費性能は非常に優れています。
2WDで35.6km/L、4WDで33.2km/L(どちらもJC08モード燃費)です。
デザイン
外観デザインが丸みを帯びた箱型であるため、内装もそれに対応したコンセプトでデザインされています。そのコンセプトとは「わたしの部屋」です。
インストルメントパネルには、カフェのカウンターをイメージしたナチュラルと、ブラウンのテーブルをイメージさせるシンプルの2種類が用意されています。
シートには上質なキルティング柄の心地よい素材を採用し、インテリアカラーにもベージュやキャメルなどぬくもりを感じさせる色が用意されているのが特徴です。
フォトフレームを思わせるデザインのナビゲーションパネルや、女性向け腕時計のような文字盤のメーターパネルなど、細部にまで女性らしさを意識したデザインが施されています。
さらに、エアコンには髪や肌への潤いを考えてナノイー機構を搭載し、フロントガラスには紫外線をカットするUVカットガラスを採用するなど、デザインだけでなく実用面でも女性への配慮が感じられる仕上がりになっています。
このように、現行のアルトラパンは、20〜30代の女性にターゲットを明確に絞りこんだことがよくわかるモデルです。
まるで女性の部屋のようであり、もはや男性だと乗車を躊躇してしまうレベルと言えるでしょう。