自動車は私たちの生活に欠かすことができない存在です。
とはいえ、環境汚染や地球温暖化によって気候が大きく変化する中で、温室効果ガスや大気汚染物質を排出しない、環境に優しいデザインの自動車を望む声が世界中で高まっています。
そうした期待に応えるため、日本だけでなく欧米の自動車メーカーの間でも、これまでのコンセプトとは異なる、次世代自動車の開発が進められているのです。
次世代自動車とは何か?
次世代自動車とは、従来のガソリンやディーゼル燃料とは異なる、新しいエネルギー資源を利用した自動車のことです。
次世代モビリティガイドブック2019では、以下のように説明しています。
次世代自動車とは、窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)等の大気汚染物質の排出が少ない、または全く排出しない、燃費性能が優れているなどの環境にやさしい自動車です。
環境省・経済産業省・国土交通省「次世代モビリティガイドブック2019」
つまり、次世代自動車はガソリン車と比べて環境負荷の高い物質の排出量が非常に小さいという特徴があります。
燃費もガソリン車と比較すると総じて良いというのが魅力でしょう。
次世代自動車にはどんな種類がある?
ハイブリッド車(HV)およびプラグインハイブリッド車(PHV)
次世代自動車の中で実用化が最も早かったのはハイブリッド車(HV)およびプラグインハイブリッド車(PHV)でしょう。
これは従来のガソリンエンジンと、バッテリーによる電気モーターを組み合わせた駆動システムです。ガソリンの消費が大きい低速走行時を電気モーターに切り替えることで燃費が大きく向上します。
プラグインハイブリッド車はバッテリーの容量がより大きく設計されており、ガソリンによる走行の割合を抑えることで、さらなる燃費向上を実現しています。
専用のプラグを接続することで、家庭でもバッテリーの充電が可能というのも魅力です。
電気自動車(EV)
2つ目は電気自動車(EV)です。
これはバッテリーに充電された電気でモーターを駆動させて航行します。ガソリンを一切使用しないので窒素酸化物や二酸化炭素を排出せず、環境負荷がほとんどないというのが利点でしょう。
環境への影響という面以外にも、走行時の騒音や振動が少なかったり、走行にかかる電気料金がガソリン代よりも安かったり、というメリットもあります。
一方で、バッテリーの充電に時間がかかる、充電スタンドが少ないなどのデメリットがあります。そもそも車両価格が高いという点もデメリットです。
また、バッテリーのみで走行するので、バッテリーの容量もハイブリッド車と比較して格段に大きくなっています。
電気自動車の主な車種として、国産車では日産のリーフ、海外メーカーだとテスラのモデル3(Model 3)、BMWのi3などがあります。
燃料電池自動車(FCV)
3つ目は燃料電池自動車(FCV)です。
こちらは水素と酸素を反応させることで生み出された電気エネルギーによって、自動車のモーターを駆動させるシステムを搭載しています。
燃料電池自動車も走行中の排出ガスはありません。また、システム内の発電効率が非常に良く、長時間の連続航行が可能というのも魅力と言えるでしょう。
2022年現在、国内で販売されている乗用車の燃料電池自動車は、トヨタのMIRAIとヒュンダイ(現代自動車)のNEXO(ネッソ)の2車種。
ホンダもクラリティフューエル セルというセダン型の燃料電池自動車を販売していましたが、2021年9月に日本仕様車の生産・販売が終了しています。
クリーンディーゼル自動車(CDV)
4つ目の次世代自動車はクリーンディーゼル自動車(CDV)です。
ディーゼルエンジンはガソリンより価格の安い軽油を燃料として使用します。その反面、大気汚染するガスを発生しやすく、環境への影響から規制の対象となっていました。
そんな規制強化の流れの中で誕生したのがクリーンディーゼル車。排出されるガスや有害物質を抑えることに成功、さらに騒音、振動の問題も解消しました。
燃費の良さ、経由を燃料に使うことによるコストの低下が魅力です。
天然ガス自動車(CNG)
5つ目の次世代自動車は天然ガス自動車(CNG)です。
エンジンの駆動するシステムはガソリン車とほとんど変わりません。
ただし、燃料が天然ガスなので、二酸化炭素の排出量が少ないことに加えて、環境汚染物質をほとんど排出しないという強みがあります。
次世代自動車が有するメリット
時勢大自動車の持つ最大の強みは「環境保全に貢献できる」という点でしょう。
電気自動車や燃料電池自動車のように、環境負荷がほぼゼロというのは非常に大きな利点と言えます。
また、ガソリン車と比較して走行中のエンジン音が非常に小さいというのもメリットでしょう。
ですから、静かで快適なドライブを楽しみたいというドライバーにとって、次世代自動車はとても魅力的な選択肢となっています。
次世代自動車が解決すべき課題とデメリット
インフラの整備が不十分
次世代自動車が抱えているデメリットの1つは「インフラの整備がまだまだ必要」という点でしょう。
電気自動車やプラグインハイブリッド車向けの電気充電スタンドは、都市部のスーパーやショッピングモールなどを中心としてある程度増加してきています。一方、水素充填用のスタンドや天然ガススタンドは未だそれほど多くありません。
販売台数が増えなければインフラを整備するメリットがあまりなく、インフラがないので販売台数が伸びないという難しい状態になっています。
この状況を打開するためには、自動車メーカーだけでなく、政府や地方自治体が中心となってインフラの整備を推し進める必要があるでしょう。
販売価格がガソリン車と比べて高い
次世代自動車が普及するために解消するべきもう1つの課題は「販売価格」です。
ガソリン車と比較した場合、次世代自動車は使用されている特別な素材などが要因となって販売価格が非常に高く設定されています。
ハイブリッド車に関しては200万円以下のモデルが登場しており、一般の消費者でもある程度手が届く範囲になってきている一方、その他の次世代自動車に関しては最もシンプルなグレードで400万円から500万円前後というケースがめずらしくありません。
そのため、どれほど燃費が良く、補助金や優遇税制措置を受けられるとしても、トータルで考えるとあまりお得ではないと感じている消費者が多いのです。
ですから、如何にして生産のコストを圧縮していけるかが課題となっています。
まとめ
自動車は人の動きと物流を支える非常に重要なファクターです。
これが低燃費・低負担の次世代自動車へと切り替わっていくことで、社会にはあらゆる面でポジティブな影響が生まれることでしょう。
実際、次世代自動車は運転する個々のドライバーにとってもメリットがたくさんありますから、インフラとコストという大きな壁を超えることができれば、瞬く間に自動車業界をリードする存在となっていくはずです。