警察庁「犯罪統計資料」によれば、2020年の盗難認知件数は7,143件。ここ数年、減少傾向が続いています。
減少しているし、全国の車両の数から考えるとわずかだと思うかもしれません。でも、万が一自分が被害にあった場合のことを考えると、とれる範囲で盗難防止対策をおこなったほうがいいでしょう。
今回は車の盗難防止に使える、セキュリティ対策グッズをご紹介します。
イモビライザー
イモビライザーとは、電子的におこなう車両盗難防止装置のことです。
専用キーに収納されているICチップと車両に登録されているIDを照合し、一致しないとエンジンがかからない仕組みになっています。
世界に比べ、車の盗難被害が比較的少ない日本では、2000年以降に普及が進みだしました。
ただ、法的に義務化されてはいないため、イモビライザーが搭載されていない車種がまだあります。
複製がほぼ不可能
イモビライザーで紐づけられたIDコードは、高度な暗号技術によって守られています。
このため、登録されているIDコードを解読するには時間が必要となり、犯人側としては厄介な存在です。
イモビライザーは後付けで装備することもできますので、お近くのディーラーに相談してみましょう。その際には、車検証など車の情報がわかるように準備をしておくことをおすすめします。
100%安全ではない
暗号解読が難しく防犯に優れたイモビライザーですが、窓を割るなど物理的な行動には対応できません。車両ごとレッカーで運んでしまうという場合も対応不可能です。
そして、恐ろしいのがイモビカッターの存在です。
イモビカッターとは、専用キーと車両で紐づけられたIDを専用のツールでリセットし、新たに再セットアップして解除する方法です。
窃盗を計画する犯人は、車種の情報を徹底的に調べ犯行に及びます。イモビライザーがあるからと言って、100%安全が確保されたとは言えないのです。
年々、窃盗の手口が巧妙化し、メーカー側とのいたちごっこが続いている現状となっています。
ブザー・アラーム
車両の盗難を防ぐ目的で、防犯ブザーが内蔵されていたり、アラームが鳴る装置を取り付けて対応する方法もあります。
キーを持っていない状態で車のドアを開けようとすると、大音量で周囲に知らせる機能です。
誤作動で大音量が鳴り響く場合がある
しかし、猫などの動物がボンネットなどに乗ったり、センサーの誤作動だったりと盗難以外の理由で大音量が鳴り響くことが少なくありません。
周囲へ迷惑となってしまうことから、アラームやブザーを鳴らさない設定にしている場合が多くあります。
本末転倒な内容ですが、騒音トラブルが起きているのも現状です。
窃盗犯が狙っている可能性もある
窃盗犯は防犯ブザーを敢えて作動させ、「誤作動した」と勘違いした車両オーナーが自ら設定を解除するのを待ってから犯行に及ぶという場合も考えられます。
車両を守るための機能が、周囲への迷惑から使いづらい現状があるのです。しかし、誤作動したからとすぐに解除するのはおすすめできません。
敢えて窃盗犯が誤作動と見せかけている可能性もありますので、様子を伺ってからにしましょう。
また、ブザーやアラームを解除する際には、代わりの防犯対策を準備しておくことがおすすめです。
ハンドルロック
ハンドルロックとは、ハンドルを物理的に固定し、解除には鍵が必要という盗難防止アイテムです。
鍵を使ってロックする物や、ダイヤル式でロックする物があり、解除できなければエンジンはかかっても運転できません。抑止力に一定の効果が期待できます。
また、ハンドル以外にもシフトレバーをロックすることも可能なタイプがあり、さらに防犯性は高くなります。
おすすめなのがスポーク部分をロック可能なハンドルロックです。グリップ部分をロックするより安全性が増しますが、比較的高価になります。価格は約3,000円~10,000円を超えるものまで様々です。
カギを無くしてしまわないこと
ハンドルを固定してしまうので、鍵を無くしたり、ダイヤル式の数字を忘れてしまうと解除できなくなってしまいます。
ロックする際には、鍵の確認とダイヤル式の数字を別に控えておくなどの対策が必要です。
また、駐車のたびにハンドルをロックするという手間が発生します。
タイヤロック
タイヤロックとは、ハンドルロックと同様に、車両のタイヤを専用の鍵で固定する盗難防止アイテムです。
自転車の鍵に近いイメージで、タイヤを挟み鍵をかけるシンプルな造りになっています。
価格も約2,000円~5,000円を超えるものまであり、インチ数の低いタイヤなら比較的安価で手に入るでしょう。タイヤを挟み込んで固定するため、購入時にはタイヤのサイズを確認しておくことが大切です。
しかし、こちらもハンドルロックと同様、駐車のたびに取り付けるという手間が発生します。
また、施錠したのを忘れて車を発進させると故障の原因にもなりかねませんので注意が必要です。
GPS
車両にGPS発信機を取り付ける対策です。
スマホやPC上から車の位置をリアルタイムに表示し追跡することが可能です。
防犯対策の大手SECOMでも「ココセコム」というGPSを搭載した盗難対策サービスがあります。
もちろん、このGPS装置を外されてしまうと追跡が不可能となります。窃盗犯に把握されないように工夫しておくことがポイントです。
まとめ
以上、車のセキュリティ対策グッズを5つ紹介しました。
窃盗、盗難のような犯罪はイタチごっこになっています。これらの盗難防止策を講じたからといって100%防げるわけではありません。
ただし、100%ではないにしても効果は大きいです。愛車を守るため、できるものは導入してみてはいかがでしょうか。