トヨタ自動車が上級クラスのスポーツカーとして生産・販売しているスープラは、北米市場におけるこのメーカーの位置を確立させるうえで非常に重要な役割を果たしたシリーズです。
また北米市場への展開を見越して開発が行われたため、登場当初は日本国内ではこの名称を使っていなかったという経緯もあります。
ですから日本と北米ではこのシリーズの歴史が異なるという珍しいケースともなっています。
また現在でも非常に人気の高いトヨタの往年の名車「トヨタ2000GT」をイメージしてデザインされており、若い世代から年配世代まで幅広い層から愛されている車種でもあります。
機能性、快適性、一体感を兼ね備えたスープラの特徴
歴史とも関わってきますが、販売が開始された当初は国内では「セリカXX」という名称が使われていました。
このセリカXXもアメリカ市場での進出を目指して開発された車種だったのですが、後述する事情も合ってスープラに名称が変更された経緯があります。
2019年に登場した5世代目が現行車ですが、ここではシリーズ当初からの伝統を受け継ぐ直列6気筒エンジンをメインにしつつ、より気軽な走行を楽しむための直列4気筒を搭載した車もラインナップしているのが大きな特徴です。
そして上級クラスのスポーツカーである以上、運転の快適性と機能性のバランスも求められます。単に快適なだけでなく、走行そのものを心地よく感じられるか、車との一体感を味わうことができるか。
トヨタ自動車ではこうした点にもこだわり、体の一部のような感覚で運転できるような工夫を搭載しています。
例えばトラクション性能。コーナーリングの際にはコーナーを脱出する時のロック率を高め、進出する際には回転性と安定性を重視したロック率を維持する事が可能ですし、滑りやすい路面などでトルクの差が生じたときにはロッキング動作を行うことでその差を解消し、安定性を維持することができます。これによってコーナーリング、発進、走行などを思い通りに行い、まさに体の一部のように感じることができるのです。
そして忘れてはならないのが安全性能。トヨタが誇る安全性能機能「Toyota Safety Sense」が搭載されており、歩行者・自動車運転者の検知・回避支援を行う「プリクラッシュセーフティ」、車線の逸脱を防ぐ「レーンディパーチャーアラート」などの機能が安全な運転をサポートしています。
ライバル車との競争からはじまったスープラの歴史
そもそもの歴史のはじまりは、1970年代に北米で大ヒットを記録していた日産のフェアレディZに対抗する車種として開発がはじめられたのがきっかけです。
その際には北米のディーラーから「直列6気筒のクーペを」という要望があったため、それを採用したうえでの開発となりました。
先述したようにセリカを発展させたような位置づけで、当初は「セリカ・スープラ」と呼ばれていたこともありました。また「セリカXX」の「XX」はアメリカでは成人指定の映画を意味するため、最終的にスープラの名称に追いついたという経緯があります。
日本ではセリカXXがそのまま使われていたため、スープラという名前のシリーズが誕生した時期にはズレが生じるのです。
北米では初代のスープラが発売された1978年、日本ではスープラの名称が使われるようになった1986年の3世代目の登場をもってスタートとなります。
実燃費が最高クラス!スープラの燃費の魅力
スープラの燃費はカタログ燃費で7.6〜14.7KM/L。この車種の特徴はカタログ燃費と実燃費の差がほとんどないと評価されている点です。
例えば高速道路での走行ではカタログ燃費を上回る15.0KM/Lを記録したという報告もありますし、市街地での仕様でも安定して8.0KM/L程度の数値は出せるという意見もあります。
ですから、カタログ燃費だけ見るとそれほど低燃費とは言えないのですが、実燃費が優れているという「隠れ低燃費カー」の面を持ち合わせているのです。
デザイン
高級感をたっぷりと味わえるエクステリア
さすがに上級スポーツカーということもあり、エクステリアの印象もまず高級感を感じます。
メーカーでは「Consensed(凝縮された)」「Extreme(過激な)」といったコンセプトを掲げていますが、過激な面はそれほど感じられない一方で高級感を凝縮したような印象になっています。
流麗なラインを持ちつつも、あちこちにアクセントが施されており個性的な印象を受けますし、ランプを車両内側に寄せたことでフェンダーのボリュームを豊かに見せるなど「特別な車」を印象づける工夫も見られます。
これは先述したように、往年の名車「トヨタ2000GT」の特徴を継承しつつも現代的なアレンジを施されたといった印象です。
カラーリングに注目! 見やすさも魅力のインテリア
インテリアの特徴はまずカラーリングです。ブラックを基調としつつレッドとのツートンカラーを用意するなど、非常にスタイリッシュで大人びた仕上がりになっています。
男性が見れば「かっこいいい」、女性が見ると「おしゃれ」。ひとことで言えば「クールな」インテリアとなっています。
さまざまな機能が搭載されていながらも全体はすっきりとしており、例えば8.8インチのTFTメーターもかさばった印象もありません。しかもこのメーターは、中央に大型のタコメーターを配置することで非常に見やすい作りになっているのも魅力です。
そのほか上下に薄いインストルメントパネル、幅が広く高いコンソールといったスポーツカーらしい環境設定もしっかり用意されています。