レガシィツーリングワゴンとは、スバルがレオーネの後継として開発したツーリングワゴンです。
水平対向エンジンを低重心で搭載したことによって、走行の安定性と力強い動力性能を両立することができ、セダンよりも優れた使い勝手を提供するモデルとして好評を博しました。
1989年に登場したレガシィツーリングワゴンは、レガシィシリーズの「走る、曲がる、止まる」の共通コンセプトはもちろんのこと、スポーティーなスタイリングと上質のインテリアを実現し、ツーリングワゴンの一大ムーブメントを築くほどに大ヒットしたモデルです。
その後、幾度かのフルモデルチェンジが施されましたが、2014年に生産終了となりました。
歴史
初代
レガシィツーリングワゴンが登場したのは1989年です。
当時のスバルが社運を賭けて打ち出した新世代モデルがレガシィであり、セダンだけでなく、ツーリングワゴンとの2本立てで大々的に売り出されました。
それまでの同社のイメージとは異なるモダンなデザインに、伝統の走行性を備えた画期的なモデルとして、レガシィツーリングワゴンはヒットします。
レガシィツーリングワゴンがヒットすると、それに触発された他社からも、同じようなスポーティーかつスタイリッシュなツーリングワゴンが続々と登場しました。
たとえば、三菱のリベロ、トヨタのカルディナ、それにホンダのアコードワゴンなどです。また、日産もプリメーラに新しくツーリングワゴンを設定するなど、レガシィツーリングワゴンが築いた市場に各社が続々参入した形となりました。
2代目
レガシィツーリングワゴンは1993年にフルモデルチェンジを果たし、2代目モデルとなります。
その進化したレガシィツーリングワゴンにまた各社が触発され、日産のステージアや三菱のレグナムなどが生まれました。
ツーリングワゴン自体はレガシィツーリングワゴン以前からありましたが、少し豪華になったライトバン程度の認識であり、レガシィツーリングワゴンのようなスポーティーさはそもそも求められていなかったとも言えるでしょう。
つまり、レガシィツーリングワゴンのおかげで、日本においてツーリングワゴンがメインストリームになったと言っても過言ではありません。
3代目・4代目
1998年、レガシィツーリングワゴンはフルモデルチェンジを経て3代目となります。
「レガシィを極める」というのが当時のコンセプトで、全車4WDとなったのが大きな変化でした。
その後、2003年にはふたたびフルモデルチェンジを経て4代目モデルが登場します。衝突安全性を向上させるために車幅が大きくなり、そのために普通乗用車のサイズになったのが特筆すべき点です。
また、以前よりもスマートで上質なデザインとなり、プレミアム感が強まりました。
5代目
レガシィツーリングワゴンは1990年代に隆盛を極め、2000年代にやや勢いに陰りは出たものの、それでも依然として売り上げを継続的に伸ばしていました。
そんな状況で、2009年、レガシィツーリングワゴンは最後のフルモデルチェンジを果たします。
ただ、この5代目モデルは北米のマーケットを強く意識したもので、ボディはさらに一回り大きくなりました。実際、プロトタイプが発表されたのも、日本ではなくニューヨークのモーターショーだったように、もはやレガシィツーリングワゴンの軸足は海外に移っていたのでしょう。
確かにその当時の国内市場は、すでにツーリングワゴンは下火で、ミニバン、SUV、コンパクトカーが代わりに大勢を占めていました。
生産終了
スバルもこの状況を踏まえ、2014年にとうとうレガシィツーリングワゴンの生産終了をアナウンスします。
レガシィの次のモデルはB4とアウトバックのみで、ツーリングワゴンは新たに登場したレヴォーグが引き継ぐことになったのです。
このように、すでにレガシィツーリングワゴンはその役目を終えました。しかし、レガシィツーリングワゴンが切り開いた新境地はしっかりレヴォーグに受け継がれているように、その大きな足跡は今も多くのファンの心に残っています。
燃費
レガシィツーリングワゴンには各世代でさまざまなグレードがありましたが、ここでは最終モデルである5代目モデルの燃費を参考にしました。
そのカタログ値によると、JC08モードで14.4km/Lです。ステーションワゴンとしては平均的な燃費と言えるでしょう。
実燃費では10km/L前後になりますが、室内やラゲッジスペースの広さ、使い勝手の良さ、そのスタイリングなどを総合的に考えると、燃料代を考慮しても維持費は決して高いとは言えないでしょう。
デザイン
レガシィツーリングワゴンの内装は、ブラックを基調としたシックなデザインです。
また、ボディサイズが大きいこともあり、室内空間はゆったり広々しており、上質な素材を使用したシートと相まって高い居住性となっています。
ラゲッジスペースも非常に広く、荷物の積み下ろしもしやすい設計です。
内装に関しても、ステーションワゴンに求められる要素はしっかり実現されています。