厳罰化された煽り運転とは?危険な妨害行為から身を守れるようにしよう

calendar_today 2020/09/10  refresh 2021/02/22

厳罰化された煽り運転とは?危険な妨害行為から身を守れるようにしよう

煽り運転は、他の運転者に対して直接的に危害を加える行動ではなかったこともあり、長い間明確な規定がなく、道路交通法だけでは厳しく取り締まることができませんでした

そのため軽い気持ちで繰り返される悪質な煽り運転によって多数の犠牲者が出ていたことは、メディアの報道などでご存知の方は多いのではないでしょうか。

今回、「妨害運転罪」が創設され、煽り運転に対する罰則が定められました。今後は取り締まりも厳しくなることが予想されます。

煽り運転は罰則も厳しく、悪質な違反行為とされていますが、実際にどの程度のものなのかを把握していない人もいます。あらためて煽り運転についての定義を確認し、防止できるようにしていきましょう。

煽り運転とは

煽り運転と聞くと、車間距離を開けずに後ろにピッタリとついて煽る運転をイメージするかもしれません。しかし、煽り運転となりうる例はこれだけではなく、以下のようにたくさんあります。

煽り運転となりうる例

  • 車間距離不保持
    車間距離を開けずに後ろにピッタリとつける
  • 急ブレーキ禁止違反
    非常時でないにもかかわらず急ブレーキをかける
  • 進路変更禁止違反
    急な進路変更をおこなう
  • 追い越しの方法違反
    危険な追い越しをする
  • 通行区分違反
    対向車線へはみ出す
  • 安全運転義務違反
    幅寄せや蛇行運転をする
  • 警音器使用制限違反・減光等義務違反
    クラクションやパッシングをおこなう

他にも高速道路を走行中の場合は、低速走行による「最低速度違反」や不要な駐停車をおこなう「高速自動車国道等駐車違反」があります。

あらためて見てみると、どれも危険行為であるとわかります。このような運転をしていたら煽り運転として判断されても仕方のないものばかりです。普通に考えればこのような運転をしていたら事故が起きても不思議ではありません。

しかし煽り行為となりうる例は複数挙げられていますが、そもそも煽り運転とはどのような行為なのかについて、定義はありません。また、例えば車間距離を極端に詰めるとしても、それがどれくらいの距離になるのか明確な数字などは決まっていないのです。

数メートルにまで距離を詰められ、煽られたと感じていたとしても、それがすぐに煽り運転として成立するとは言えませんこの基準の曖昧さは、妨害運転罪がわかりにくいと言われている理由の一つです。

煽り運転の危険性

実際に煽り運転をされると、運転に自信がある人であっても大きなプレッシャーを受けます。どれも危険行為であり、大きな事故になってしまうからです。

相手が勝手に事故を起こすだけならともかく、煽り運転を受ける側は自分が事故に巻き込まれてしまう危機感に襲われます

しかし煽る側が、事故が起こる可能性を想像できる場合は少なく、ひどい場合は何かしら危害を加えようとして行為に及んでいると推測できる場合もあるほどです。

この認識の違いが事故や事件に発展する要因であるともいえるのです。驚くことに実際に運転をしている人の多くが煽り運転を受けた経験があるようです。

実際に煽り運転が原因で交通事故は起きており、中には乗車する人が死傷する事故にまで発展しているケースもあるのです。

高速道路走行中などは当事者だけでなく、無関係の車両まで事故に巻き込んでしまう可能性があり、このことからも煽り運転は大変危険な行為であると断言できます。

厳罰化。違反時の罰則

先に紹介した煽り運転は、もともと道路交通法で罰則として定められているものがありました。それ以外には刑法の暴行罪を手供することで対応してきたのですが、それだけでは抑止力として不十分だったのです。

そのため妨害運転罪が創設され、厳しい罰則が設けられました。

煽り運転をした場合の罰則は「3年以上の懲役または50万円以下の罰金」が科せられます。そして違反点数は酒気帯び運転と同じく25点です。

煽り運転の中でも極めて危険な高速道路上で相手を停車させる行為などは「5年以上の懲役または100万円以下の罰金」となり、違反点数は35点になります。これは飲酒運転と同じで、違反をした時点で免許取り消しになります。

妨害運転罪が創設される前に煽り運転で取り締まられた場合は、違反点数も低く罰金額も安いものでした。しかし煽り運転が大きく問題視されて厳罰化されたことで、以後は一発免許取り消しになる危険行為として定義されたのです。

まとめ

軽い気持ちで煽り運転をする人もいますが、一歩間違えると大事故に繋がる危険行為です。

その煽り運転を証明するためには、ドライブレコーダーによる記録が必要です。煽り運転を受けたと訴えても、現行犯でなければ口頭注意で終わってしまうケースが多いのです。その場で110番をしようにも、同乗者がいなければ難しい問題もあります。

煽り運転を受けても相手にしないことが重要です。その多くは短絡的な行動なので、相手にされていないと分かれば煽り運転をやめるケースは多くあります。

気が立って相手にしてしまっては逆効果です。ただでさえ事故が起こりやすい状況なのですから、自分からその可能性を高めてしまってはいけません。冷静に対処し、警察へ通報するようにしましょう。それこそが煽り運転に対する最大の対策になります。

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