アウディTTは1998年にリリースされた本格派スポーツカーで、アウディが往年の名スポーツカーのカッコ良さを現代によみがえらせた、強烈なインパクトを持つスペシャルカーです。
基本コンセプトはクーペ・ロードスター、かつてポルシェやホンダS800にあこがれたモーターファンが夢中になる、ガブリオレタイプのコンパクトスポーツカーとしてデビューしています。
アウディTTの特徴
イギリスの公道レースが名前の由来
TTという変わったネーミングは、イギリスで有名な公道レースであるツーリスト・トロフィーにちなんでつけられました。
このレースはマン島の公道を爆走するレースで、最高速が320km/hオーバーというあり得ないスピードで公道を走るため、死者が続出する世界一危険なレースとしても有名です。
アウディの前身であるNSU社がこのTTレースで活躍していたことから、その遺伝子を継承する形で、この猛烈なレースを制覇するスポーツカーを目標にしてTTは開発されたということです。
クーペとガブリオレ
ルックスは走ることだけに集中した本格派スポーツカーで、流線型のルーフを持つクーペとオープンエアーのガブリオレが選べます。
欧州では昔からアウディの走行性能に定評があり、アウディオリジナルのS-トロニック・ミッションシステムは最も理想的なトランスミッションとの評価を得ているほどです。
ダウンサイジングの高性能エンジンユニットとのコラボと、ショートボディ&ロングホイールベースのレイアウトで、ゾクゾクするほどの加速性能・コーナリーング性能・安定走行を実現しています。
なお、アウディマグネティックライドの搭載により、乗り心地とアグレッシブな走り味に磨きがかかっている点にも注目です。
アウディTTの歴史
初代タイプ8N(1998年-2006年)
1995年にコンセプトカーがデザインされ、そのままの姿でリリースされたのが初代TTです。
シンプルでスタイリッシュで、しかも走りのポテンシャルがそのまま具現化したような造りのスポーツカーに仕上がっています。
なお、この初代TTのデザインは後のアウディ車に大きな影響を与え、他のメーカーも積極的に取り入れたことは有名な話です。
2000年のマイナーチェンジで、電動ソフトトップ装備のガブリオレ・TTロードスターが追加リリースされています。
2代目タイプ8J(2006年-2015年)
2代目のエクステリアは、先代のコロリとしたボディからシャープなスタイリングに変身しています。
一見すると、ポルシェ・カレラのリアビューに似ている感じがするでしょう。
ちなみに、デザイナーはJorge DiezとGary Telaakで、ワイド&ローポジションが強調されています。
なお、高速走行の安定性をアップするために、時速120km/hオーバーより自動で刃を突き出す電動可変リアスポイラーを装着させました。
3代目タイプ8S(2015年- )
ボディ素材をアルミフレームにして再デビューした3代目TTは、なんと50kgものダイエットをクリアして、さらにスリムでスポーティなシルエットを手に入れています。
また、先代よりもホイールベースが37mm延ばされて、走行性能の面で進化しています。
3代目は新たな目標をかかげ、今まで以上に純粋にスポーツカーとしての存在意義を示しているように感じられます。
アウディTTの燃費
アウディTT・FFモデル(1.8リッター)のJC08モードは16.6km/Lとあります。
TTのパワースペックは最高出力250PS・最大トルク32.60kgfpmと驚異的なパワーを発揮していて、1.3トンにも及ぶボディを軽々と加速させていきます。そのため、燃費効率はそれ程良いとは言えません。
なお、ガブリオレ・タイプになると13.2km/Lとさらに燃費が落ちていきます。ですが、ユーザーの口コミでは、この数字に満足との声が多く見られます。
スポーツカーはピーキーな走りをするために、燃料をどか喰いするのが当たり前です。このTTはスポーツカーなのにリッター16kmも走るのですから、むしろ優等生と言えるでしょう。
アウディTTのデザイン
エクステリア
3代目と初代モデルを並べてみても、デザイン的に大きな変化を感じません。
ただし、モデルチェンジを重ねるごとに、シャープで切れのあるデザインが意識され、余計な肉がそぎ落とされていることに気が付くはずです。
プロポーションとボディパネルの仕上がりは、生命感あふれる野生の獣を彷彿とさせるほど、完璧に作り上げられています。
シンプルなデザインも、ここまで突き詰めて磨き上げると、神々しくさえあります。
アウディは他の欧州メーカーと比べても、頑固に機能美を追及してきたメーカーです。一見すると武骨とも見える外観に、不変の完成度が光って見えるのではありませんか。
インテリア
コックピットに体を滑り込ませると、すでに走りの興奮がゾクゾクとわいてくるほど、TTのインテリアはご機嫌です。
ジェット機の噴射口ををデザインしたエアコンルーバーと周囲に理路整然とレイアウトされた計器やスイッチ類、インパネには大画面デイスプレーがはめ込まれ、ドライビング情報や道路情報が3G画像で敵的確にアップさせるのもスゴイです。
これをアウディはバーチャルコックピットと呼んでいますが、まさにSFチックな空間でワクワク感が止まりません。
乗り心地も最高で、ガッチリと体をホールドするバケットシートは本革張りの高級デザイン、ステアリングもドアパネルも、どこをとってもゴージャスな造りに溢れています。
フルオープンで風を切って走る時、TTのオーナーである喜びを満喫することでしょう。